特許の攻撃と防御、そして交渉

特許の攻撃防御、そして交渉

自社で持てば武器になるが他社から攻撃されることもある。白黒つけるより、どこかで折り合う。手札を見極めて、交渉に臨む。

知財部門の定期購読雑誌

昨年末にはっしーさんの「法務部のための定期購読誌&データベースガイド」エントリを拝見して、そういえば、定期購読している雑誌についてまとめてエントリしたことってなかったかも?と思いましたので、一度まとめておこうと思います。データベースについては、また機会を改めてご紹介することにして、雑誌の過去記事収録という観点でのみ最後に掲げています。

blog.livedoor.jp

知財系雑誌

知財管理

日本知的財産協会(JIPA)の機関誌です。会員になると、1社あたり2部が無償配布されます。日本知的財産協会は、正会員と賛助会員の種別があり、正会員は、営利を目的とする民間の日本法人で、事業のための知的財産を創出し、その保護と活用を図っているものとされています。さらに知的財産を所管する部署を有し、知的財産の専任者を置いているという要件もありますので、知財部門を置いている企業の集まりと言えるでしょう。

知財管理誌は、JIPAの専門委員会の研究成果の発表媒体であり、知財関係の論文の掲載媒体です。「会員相互の研鑽・交流情報誌としての役割を持つとともに、専門性の高い論文や企業における最新の知的財産活動を掲載する知的財産関係の専門誌としても高く評価され、知財の実務家や専門家にとってなくてはならない雑誌」と謳われています。

基本的には、知財管理誌に発表後1ヶ月経過すると会員用HPにPDF掲載されます。会員であれば、専用のHPから、目次や検索で記事全文に当たることができます。専門委員会の研究開始の際には、まずはここから先行文献を当たります。

発明

発明推進協会の月刊誌です。発明協会及び発明推進協会の会員の機関誌ですが、一般書店でも販売しています。知的財産権制度の普及、知的財産権の利用促進という発明推進協会の目的からか、比較的中小企業向けの記事が多く、柔らかい印象です。

パテント

日本弁理士会の会誌(月刊誌)です。弁理士登録をしていると、毎月弁理士会から送られてきます。とはいえ、「知的財産の最新トピックスや研究成果などを広く発信していく雑誌」と謳われており、定期購読は誰でも可能で、バックナンバーも購入できます。また、2002年以降の記事は多くがPDF公開されており、パテント誌発行月の2ヵ月後の月初め頃に掲載されます。検索システムも提供されていますが、普通にWEB検索をしていても記事がヒットすることも多くあります。

執筆者は公募されており、弁理士に限りませんが、弁理士会の委員会の研究発表の場にはなっています。毎月特集が組まれ、テーマに応じた原稿が集められて掲載されます。

とっきょ

特許庁の広報誌です。無料で配布されており、電子版もあります。いまやAndroid版もあるようですね。特許庁の動きはホームページでも追えますが、分かりやすくタイムリーに解説記事が載りますので、流れを追うには良いと思います。

特技懇誌

特許庁技術懇話会が年に数回発行する会誌とのことです。バックナンバーはPDF公開されています。特許庁技術懇話会は、特許庁の技術系の方々の集まりということですが、特許庁の中の方ならではの記事があって参考になります。

知財ぷりずむ

経済産業調査会が提供する知的財産情報会員の会報誌(月刊)です。

『「知財ぷりずむ」は、実務に精通した裁判官、弁護士、弁理士、研究者等の執筆陣による研究論考・判例研究を主要記事とし、わが国知的財産国家戦略や海外の制度事情、新たな技術動向、そして条約・法令・注目判例の解説を行うとともに、参考資料として、全省庁にまたがる知的財産資料を収録しており、これからの知的財産戦略の立案に際して、有益な判断材料を提供する』と謳われています。

バックナンバーの目次は公開されていますが、本文のPDF公開はされていません。

特許ニュース(日刊)

『昭和36年の創刊以来知的財産界唯一の日刊紙』とのことです。誌面の雰囲気は私がこの業界に入った30年近く前から変わっていません。WEB情報がなかった頃は、各国の法制度情報や法改正情報をいち早く提供するソースとしてよく読まれていました。判例解説や論文も掲載されており、変わらず定期購読されている会社も多いと思います。

こちらもバックナンバーの目次は公開されていますが、本文のPDF公開はされていません。日刊紙なので油断するとあっという間にバックナンバーが溜まってしまうのが難点かも。

知財ぷりずむは、すべての知的財産情報会員に送付されますが、知的財産情報普通会員や知的財産情報特別会員になると、さらに「特許ニュース」が送付されるようです。

Law & Technology

「知的財産・バイオ・環境・情報・科学技術と法を結ぶ専門情報誌」ということで、知財に限られませんが、8~9割方知財系の記事で構成されています。他誌に比べ、特許庁などの行政サイドの執筆者が比較的多いように思います。

定期購読すると、編集部特設サイトから紙面のPDFがダウンロードできるIDとパスワードが提供されます。

月刊コピライト

公益社団法人著作権情報センターの会員向けに発行されている著作権の専門情報誌です。非売品で、会員にならないと入手できません。

知財研フォーラム

一般財団法人知的財産研究所が発行する季刊誌です。知的財産研究所は、知的財産に関する国際的・総合的な研究並びに世界の知的財産研究機関や研究者に対する研究協力を目的として、1989年6月に設立されたということです。毎回特集が組まれており、集中してそのテーマについての論考を読むことができます。

知財系の記事が掲載される法律系雑誌

知的財産法は法律の一分野ですから、法律系雑誌にも時々知財系の記事が載ります。毎号載る法律系雑誌は珍しいため、知財部門で定期購読するかどうかは微妙です。知財法務業務が相当量ある場合には、できれば購読したいところですが、法務部門との距離が近ければ、関係する記事だけ回覧して貰ってもよいかもしれません。知財記事の掲載頻度がそれなりに高い代表的な法律実務系雑誌としては、以下のようなものがあります。

Business Law Journal

数か月に1度の頻度で知財系の特集が組まれるイメージのBLJ。特集でなくても連載や個別記事で1ヶ月に1記事くらいは知財系のものが掲載されている感じでしょうか。法務の方々にお役立ち度No.1と評されるだけあって、知財系の記事であってもそこは変わりません。どちらかといえば、特許系よりも商標・意匠・不正競争防止法絡みやさらに周辺法との関わりにフォーカスしたもの、特許系であれば訴訟係争寄り、知財法務よりのものに強みのある記事が多いように思います。

定期購読者は過去記事の検索ができ、PDFでダウンロードして纏めて読めるのはとてもありがたいです。

惜しいのは、知財部門で購読するには掲載頻度が低すぎるのと、本流記事が少ないために購読一押しとは言い難いところで(書籍予算も限られているところですから)、知財クラスタの中での知名度はそれほど高くありません。

ビジネス法務

こちらも、旬なテーマがあれば知財系の記事も掲載されます。特に中小規模やメーカー以外では知財部がなく、法務部や法務担当者が知財までカバーしますから、それを念頭に置かれた記事が多い気がしています。知財部として押さえておく必要まではないかな。隣に法務がいれば、チェックのために回してもらうのが良いでしょう。

NBL

実務に直接役立つ情報というよりも、法律に関する掘り下げた記事や座談会の書き起こし記事が多く掲載されています。硬い記事が多いため、読み応えがあり、回覧がスタックしがちな雑誌の一つのように思います。こちらも知財系の記事が毎号載るほどではなく、数ヶ月に1度(ただし数回連続の記事も多い)の掲載ですが、本誌は基本的に定期購読のみの販売であるため、読みたい場合は購読するしかありません。

過去記事のデータベースがあり、さらに、データベースはWestLaw Japanからも契約が可能となっています。データベース契約で過去記事検索とPDFの印刷が可能(但しダウンロードして持ち出すことはできません。データベース上での閲覧のみ)。データベース契約すると本誌が1冊付属で送られてきます。発売の際にはざっと目を通しておき、必要に応じて過去記事を検索するのが良いと思います。

国際商事法務

はっしーさんの上記エントリでは「日本語ですばやく読める外国法文献として貴重」とされています。マイナーな国の法律動向も含めて日本語で追うことができる雑誌です。国際法務の割合がそれなりにあって、さらに知財系を掛け算すると、この雑誌まで取る必要がある知財部門はあまり多くなさそうです。しかし、この雑誌も定期購読していないと入手が難しいのでとりあえず購読しておきたい方に傾くことも。購読を止めたがる法務を説得して取って貰っている現状・・。

目次のPDFは公開されていますが、本文の公開はされていないようです。

ジュリスト

少し前に大幅に模様替えして、理論系から実務寄りにシフトされ、縦書きから横書きになってびっくりしました。ジュリストでも時々知財系の特集がありますが、定期購読するほど多くはありませんので、目次をチェックしたり、ブログでの言及から読みに行ったりする程度で足りるイメージです。こちらは一般書店で普通に手に入りますので、読みたくなってから買いに行っても間に合います。

ちなみに、雑誌の定期購読あっせんサイトであるFujisan.co.jpでは、雑誌の目次だけをメール配信してくれるサービスがあります。こちらを頼んでおいて、目次だけ忘れずにチェックし、興味がある記事があれば買いに走るというのもよさそうです。

知的財産研究所 図書館

知的財産研究所は、その設立趣旨から、知的財産に関する資料を幅広く収集している図書館を持っています。知的財産権法分野を中心に国内外の図書(報告書含め)約1万冊、雑誌約70種を所蔵されています。これは、WEBから蔵書検索ができる上、所蔵雑誌の一覧も公開されています。上記の他にも、知財に関する雑誌は網羅されていると思います。また、粗い文献調査をする際には蔵書検索を使えて大変ありがたいです。

WestLaw Japan

知財系の判決はほぼ全件が裁判所のデータベースで公開されます。裁判例を見たいときにはこれで足りるとも言えるのですが、PDFでなくワード形式で判決文をダウンロードしたいとか、クロスリファレンスを見たいとか、類似の判決を簡単に出したいとか、少し便利な使い方をしたいのであれば、判例検索のデータベースを契約することになります。

はっしーさんの挙げられている「判例秘書」、「LEX/DB」、「Lexis AS ONE」、「WestLaw Japan」あたりが代表的なところでしょうか。当社では、WestLaw Japanを契約しています。米系の判例データベースもWestLawを契約している関係と、あとは、価格体系との兼ね合いで決めています。

基本的な判例検索機能に加え、書籍・雑誌を有料オプションで幾つか加える形となっています。法務部門と共同で使用しており、特許庁の審決、ジュリスト・論究ジュリスト、NBLを追加しています。